こんにちは、Dimです。今回は「部下や子供を、褒めて伸ばす、叱って伸ばす。どちらがいいのか?」について解説します。

部下や子供をどうやって育てるかは、多くの人が悩む問題です。褒めると甘えるのではないか?叱ると嫌われるのではないか?そんな不安を感じたことはありませんか?

実は、この問題には科学的な答えがあります。研究データによると、部下や子供を伸ばすには、褒めることも叱ることも両方必要でした!また、そのタイミングや方法が重要だということがわかっています。

先に結論を言います!

・部下や子供を伸ばすには、褒めることも叱ることも両方必要です。
・褒めるときは、具体的な行動や努力を称え、自信ややる気を高めます。
・叱るときは、間違った行動や態度を指摘し、改善の方法や目標を示します。
・褒める回数5:叱る回数1にすると効果的です。
・褒めたり叱ったりする際には、相手の感情や状況に配慮し、適切な言葉遣いやトーンを使いましょう。

この記事では、上記の結論に至った研究論文のデータを紹介しながら、部下や子供を伸ばすための具体的な方法を解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。

1. 褒めることも叱ることも両方必要です

部下や子供を伸ばすには、褒めることも叱ることも必要です。これは、心理学の理論である「自己決定理論」に基づいています。

自己決定理論とは、人間の動機づけや行動の原理を説明する理論で、人間は3つの基本的な欲求(自己決定性・有能性・関係性)を満たすことで幸せになります。

自己決定性とは、自分で選択したり決断したりする自由さです。有能性とは、自分が何かを上手くできたり成果を出したりする能力感です。関係性とは、他者と信頼や愛情を築くつながり感です。

これらの欲求を満たすことで、人間は内発的な動機づけ(自分の興味や価値観に基づいて行動すること)が高まります。内発的な動機づけが高い人は、外発的な動機づけ(報酬や罰など外から与えられる刺激に基づいて行動すること)が高い人よりも、学習や仕事の成績が良くなったり、幸福感が高まったりします。

部下や子供を伸ばすには、内発的な動機づけを高めることが重要です。そのためには、褒めることも叱ることも必要です。なぜなら、褒めることで有能性や関係性の欲求を満たし、叱ることで自己決定性の欲求を満たすからです。

1-1. 褒めることで有能性や関係性の欲求を満たす

褒めることで、相手の有能性や関係性の欲求を満たすことができます。有能性の欲求を満たすとは、相手に自分は何かを上手くできるという自信や誇りを持たせることです。関係性の欲求を満たすとは、相手に自分は誰かに認められているという安心感や愛情を持たせることです。

例えば、部下がプレゼンテーションを成功させたときに、「素晴らしいプレゼンテーションでしたね。あなたの説得力や表現力に感心しました。私もあなたから学びたいです」と褒めると、部下は自分の能力に自信を持ち、上司からの評価や信頼を感じます。これは、有能性や関係性の欲求を満たしています。

1-2. 叱ることで自己決定性の欲求を満たす

叱ることで、相手の自己決定性の欲求を満たすことができます。自己決定性の欲求を満たすとは、相手に自分で考えたり選択したりする自由さや責任感を持たせることです。

例えば、子供が宿題をしなかったときに、「宿題をしないとどうなるかわかっているの?勉強しないと将来困るよ。宿題は自分のためにするんだから、ちゃんとやりなさい」と叱ると、子供は自分の行動に対する結果や意味を考えさせられます。これは、自己決定性の欲求を満たしています。

2. 褒めるときは具体的な行動や努力を称えます

部下や子供を伸ばすには、褒めることも必要ですが、ただ褒めれば良いわけではありません。褒め方によっては、逆効果になる場合もあります。効果的な褒め方とは、具体的な行動や努力を称えることです。

具体的な行動や努力を称えることで、相手にどういう行動が良いかを明確に伝えることができます。また、相手に自分は努力すれば成果が出せるという成長思考(能力は固定されていないという考え方)を持たせることができます。

例えば、「あなたは頭が良いね」という褒め方は、相手の能力そのものを評価しているように見えますが、実は効果的ではありません。
なぜなら、相手に固定思考(能力は生まれつき決まっているという考え方)を持たせる可能性があるからです。固定思考を持つ人は、失敗や挑戦を恐れて、努力や学習を避ける傾向があります。

一方、「あなたはよく勉強したね。問題を解くときに、どうやって考えたの?教えてほしいな」という褒め方は、相手の努力や思考過程を評価しています。これは、効果的な褒め方です。相手に成長思考を持たせることで、失敗や挑戦を恐れずに、努力や学習を続ける傾向があります。

3. 叱るときは間違った行動や態度を指摘し、改善の方法や目標を示します

部下や子供を伸ばすには、叱ることも必要ですが、ただ叱れば良いわけではありません。叱り方によっては、逆効果になる場合もあります。効果的な叱り方とは、間違った行動や態度を指摘し、改善の方法や目標を示すことです。

間違った行動や態度を指摘することで、相手にどういう行動が悪いかを明確に伝えることができます。また、改善の方法や目標を示すことで、相手に自分は改善できるという希望や方向性を持たせることができます。

例えば、「あなたはダメだね。何もできないじゃないか」という叱り方は、相手の能力そのものを否定しているように見えますが、実は効果的ではありません。なぜなら、相手に自己肯定感(自分は価値のある人間だという感覚)を低下させる可能性があるからです。自己肯定感が低い人は、自分に自信が持てず、挫折やストレスに弱くなります。

一方、「あなたはもっとできるはずだよ。今回の失敗はどうして起こったの?どうすれば次は成功できると思う?」という叱り方は、相手の失敗した原因や改善策を考えさせています。これは、効果的な叱り方です。相手に自己肯定感を保ちつつ、問題解決能力や目標設定能力を養うことができます。

4. 褒める回数は叱る回数より多くすると効果的です

部下や子供を伸ばすには、褒めることも叱ることも必要ですが、そのバランスも重要です。褒める回数は叱る回数より多くすると効果的です。これは、「ポジティブ・ネガティブ・バランス」と呼ばれる心理学の理論に基づいています。

ポジティブ・ネガティブ・バランスとは、人間の感情や関係性において、ポジティブな刺激(喜びや愛情など)とネガティブな刺激(怒りや悲しみなど)の比率が重要だという理論です。この理論によると、人間はポジティブな刺激が多いほど、ネガティブな刺激に対しても耐性が高まります。逆に、ポジティブな刺激が少ないと、ネガティブな刺激に対しても敏感になります。

例えば、夫婦の関係においては、ポジティブな刺激とネガティブな刺激の比率が5:1以上であれば、関係が安定するという研究結果があります。つまり、夫婦は喧嘩をすることもあるかもしれませんが、それ以上に愛情や感謝を示すことで、関係を良好に保つことができます。

同じように、部下や子供に対しても、ポジティブな刺激(褒めること)とネガティブな刺激(叱ること)の比率を5:1以上にすると効果的です。つまり、部下や子供は失敗をすることもあるかもしれませんが、それ以上に成功や努力を認めることで、成長や幸福を促すことができます。

5. 褒めたり叱ったりする際には、相手の感情や状況に配慮します

部下や子供を伸ばすには、褒めたり叱ったりすることも必要ですが、そのタイミングや方法も重要です。褒めたり叱ったりする際には、相手の感情や状況に配慮します。これは、「コミュニケーションの4原則」と呼ばれる心理学の理論に基づいています。

コミュニケーションの4原則とは、人間のコミュニケーションにおいて、以下の4つの原則を守ることで、相手との関係を良好に保つことができるという理論です。

・適切性の原則:相手や場面に応じて適切な言動をすること
・明確性の原則:相手に伝えたい内容を明確に伝えること
・関連性の原則:相手の話題や興味に関連した内容を話すこと
・簡潔性の原則:必要以上に長く話さないこと

これらの原則を守ることで、相手に不快感や誤解を与えることを避けることができます。

例えば、部下が仕事でミスをしたときに、その場で大声で叱るのは適切性の原則に反しています。なぜなら、部下は周りの人に恥をかかされて傷つくかもしれませんし、他の人も聞いていると気まずくなるかもしれません。その場合は、落ち着いた場所や時間を選んで、静かに叱る方が良いでしょう。

また、子供がテストで良い点数を取ったときに、「すごいね」とだけ褒めるのは明確性の原則に反しています。なぜなら、子供はどこがすごいのかわからないかもしれませんし、本当に褒められているのか疑うかもしれません。その場合は、「すごいね。どうやって勉強したの?教えてほしいな」と具体的に褒める方が良いでしょう。

今日のまとめ

今回は「部下や子供を、褒めて伸ばす、叱って伸ばす。研究論文のデータ」について解説しました。以下が主なポイントです。

・部下や子供を伸ばすには、褒めることも叱ることも必要です。
・褒めるときは、具体的な行動や努力を称え、自信ややる気を高めます。
・叱るときは、間違った行動や態度を指摘し、改善の方法や目標を示します。
・褒める回数は叱る回数より多くすると効果的です。
・褒めたり叱ったりする際には、相手の感情や状況に配慮します。

これらの方法を実践することで、部下や子供の内発的な動機づけや成長思考を高めることができます。また、自分と相手の関係性やコミュニケーションも良好に保つことができます。

みなさんのお役になれば幸いです。それでは良い1日を!